相続人同士が話し合って遺産分割協議書を作成する場合,一般に,預貯金等の金銭債権の分け方を決めます。
ところが,家庭裁判所で手続をする場合には,注意が必要です。
調停手続では,相続人全員の同意があれば協議対象に取り込むことができますが,反対があれば取り込めませんし,また,審判手続では,審判対象にならないと考えておくべきです。
これは,最高裁判所昭和29年4月8日判決が,大審院の大正9年12月22日判決を維持して,「相続人が数人ある場合において,相続財産中に金銭その他の可分債権があるときは,その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解すべきである。」と判示しているからです。
つまり,預金は,遺産分割協議をする必要はなく,金融機関に対して法定相続分に応じて支払を求めることができる,だから,そもそも協議対象に含まれない,ただ,全員の同意があるのであれば,法律上可能な限り,この全員の同意を尊重しましょう,と考えるのです。
2016/02/22